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玉野三井病院の概要

玉野三井病院は、昭和12年に建てられた病院で、県下でも当時の旧日赤病院と肩を並べる4階建てビルディングです。昭和の趣を残した外観で、内部はとても厚い鉄筋コンクリート構造で、関東大震災クラスの地震に耐えられるようです。この頑丈な構造のために、本館の部屋の基本的なレイアウトは改造できません。

 

現在、ベッド数は143床で、うち一般病床が93床(包括ケア病床32床、急性期病床61床)と療養病床が50床です。地域の基幹病院として、高齢者が多い玉野地区の地域包括医療を支えるために、救急医療、外来医療、一般入院医療(急性期病床)、亜急性期入院医療(包括ケア病床)、慢性期入院医療(療養病床)、在宅医療(訪問診療、訪問看護)という形で当院の中で循環完結できる医療体制をとっています。

 

一般病床は、10対1看護体制で、現在平均在院日数は10日前後を保っています。 包括ケア病床や療養病床では、悪性腫瘍末期患者の癌性疼痛コントロールを含む看取りの医療に対応しています。

療養病床は、在宅復帰管理加算を算定できており、9割以上の患者さんが高い医療度を要する方で、気管切開や人工呼吸器装着の患者さんも療養されています。入院科は内科、外科、整形外科で、急性期病床、包括ケア病床、療養病床ともに全ての科が混じっている混合病棟になっています。なので、一般病棟では毎週1回全科合同の病棟カンファレンスを開き、新入院のプレゼンテーションや、それ以外の患者さんの治療方針、退院の計画について多職種で検討をしています。病棟カンファレンスをもとに、毎週1回各科主治医、各病棟師長、地域連携室、患者支援室、事務、リハビリなどが集まって、患者さんの病床の移動や退院先を決める病床調節委員会を開いています。

一般病床については、入院早期から、患者支援室長を中心に、患者さんやご家族の希望、主治医の意見を取り入れて、リハビリの必要性、包括ケア病床や療養病床の利用の有無、在宅あるいは介護施設への退院の計画を立てて実行しています。退院後に訪問診療や訪問看護、訪問リハビリ、ホームヘルパーやデイサービス、ショートステイなどを利用される患者さんについては、主治医、病棟師長、患者支援室、外部のケアマネージャー、介護サービス機関、患者さん本人、ご家族が集まって、退院後の療養計画を立てます。また、ご自宅に帰られる患者さんについては、医師の指示のもと、退院直前に訪問看護師が自宅訪問をして退院後の生活指導を行っています。

訪問診療については、現在約50数軒のお宅に伺っており、外部訪問看護ステーションと協力して、在宅での点滴注射や創傷処置、麻薬管理、緊急往診や在宅での看取りに24時間対応しています。在宅での看取りについては、平成27年度のみで4月から7月までの間5件の看取りを果たしています。臨時の緊急往診も、10件以上行っており、強化型在宅支援病院として認定されています。2017年から始まる専門医制度に向けて、総合診療専門医における総合診療専門研修Ⅰの施設基準を申請する予定です。

診療研修のカリキュラムについて

日本専門医機構の総合診療専門医に関する委員会が、平成27年4月20日に出した総合診療専門医専門研修カリキュラム(案)を参考に、総合診療専門医に求められる6つの重要な到達目標を入れ込んで、玉野三井病院の現在の実情と照らし合わせた当院のカリキュラムを作成しています。基本的には、患者さんやご家族、院内のコメディカルスタッフや院外の介護サービス機関、他の医療機関と連携を取りながら、患者さん、ご家族、病院いずれもが納得できるような医療・ケアを計画して実践できる医師になっていただくことを目標にしています。教科書的な治療がいつも正しいわけではなく、患者さんの年齢や性別、経済状況、病気や人生に対する考え方、ご家族の希望、そういった背景を考慮しながら、いくつかの選択肢の中から優先順位をつけて、患者さんと一緒に治療方法を選んでいけたらよいと思います。

研修スケジュールについて

家庭医、総合診療医では、救急医療の豊富な経験が絶対必要というのが私の持論です。玉野三井病院は企業病院のため、もう30年近く前から週休2日制でした。週5日の出勤日のうち、1日を救急医療研修のための高次医療機関への研修日にあてたいと思います。残りの4日間は、訪問診療を中心とした在宅医療の研修と、急性期、亜急性期、慢性期の病棟診療、内科外来診療や外科外来での創傷処置、整形外来での骨折の処置、運動器リハビリの体験実習、内視鏡や超音波の体験実習をしていただきます。また、患者さんの在宅復帰や施設入所を考慮した各種委員会やカンファレンスにも参加していただきます。細部については、実習の成果や研修医の先生の希望を取り入れながら、フレキシブルに行っていきたいと思います。

玉野三井病院長 磯嶋浩二